原著
早期多発胃癌症例の検討からみた早期胃癌術後の残胃follow upの意義
谷光 利昭, 稲田 高男, 五十嵐 誠治1), 堀口 潤2), 尾形 佳郎
栃木県立がんセンター外科, 同 病理1), 同 画像診断部2)
1987から98年までの12年間における多発早期胃癌症例83例および同期間内に初回手術が施行されfollow up中に残胃癌が診断された早期胃癌11例の臨床病理学的検討より,早期胃癌術後における残胃follow upの意義を検討した.多発胃癌症例の85.5%は分化型腺癌症例であり,副病巣も94.4%が分化型症例であった.副病巣における術前診断率は28.9%に過ぎず,大部分の症例は術後病理検索によって診断された.残胃癌11例の初回手術から診断までの平均期間は4年,全例10年以内であり,初回手術時の遺残癌と考えられた.したがって早期胃癌,特に分化型腺癌症例の術後には遺残した微小病変の存在を念頭に置き詳細な残胃の観察が重要である.
索引用語
postoperative follow-up study of gastric cancer, multiple gastric cancers, residual gastric cancer
日消外会誌 33: 1450-1454, 2000
別刷請求先
谷光 利昭 〒320-0834 宇都宮市陽南4-9-13 栃木県立がんセンター外科
受理年月日
2000年4月26日
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