原著
癒着性イレウスにおける選択的小腸内圧測定の意義
佐々部 一, 恩田 昌彦, 田中 宣威, 横山 滋彦
日本医科大学第1外科
癒着性イレウスにおける閉塞程度の定量化を目的として,CO2ガスを用いて閉塞部口側の小腸内圧を測定する方法を考案し,これを選択的小腸内圧(SIPS)として提唱しその意義について検討した.対象はlong tubeを挿入した50例,測定は第3病日以降1~3回施行した.また,全例で選択的小腸造影(SBE)を施行した.SIPSはその圧曲線よりI~III型の圧波形に分類された.平均圧を測定時間内の圧曲線を積分し時間平均として求め,閉塞程度を評価する指標とした.平均圧は非閉塞像5.2±2.5 cmH2O(mean±SD),屈曲像6.8±3.9 cmH2O,狭窄像13.2±7.4 cmH2O,完全閉塞像14.9±7.1 cmH2Oと定量的に閉塞の程度を把握できた.解除群では圧波形はI型,手術群ではIII型を示し,平均圧ともそれぞれ6.9±44cmH2O,15.5±7.0 cmH2Oと有意差を認めた(p<0.01).SIPSを経時的に測定し圧波形,平均圧を検討することは癒着性イレウスの治療方針決定の補助診断として意義のあるものと考えられた.
索引用語
adhesive small bowel obstruction, long tube, intraluminal pressure of the small bowel, cobservative treatment for small bowel obstruction, selective intraluminal pressure of the small intestine
日消外会誌 33: 1473-1482, 2000
別刷請求先
佐々部 一 〒113-8603 東京都文京区千駄木1-1-5 日本医科大学第1外科
受理年月日
2000年4月26日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|