症例報告
術前診断にて肝血管筋脂肪腫が疑われ腹腔鏡下肝切除を施行した1例
森田 眞照, 石橋 孝嗣, 原 均, 奥田 準二, 土肥 健彦, 西口 完二, 岩本 充彦, 井上 仁, 谷川 允彦
大阪医科大学一般・消化器外科
肝血管筋脂肪腫を術前に診断しえ,腹腔鏡下肝切除を施行した1例を経験したので報告する.症例は35歳の男性で,検診時の超音波検査で肝外側区域に直径約2 cm大の増大傾向のある高エコー陰影を指摘され来院.CT検査で不均一にエンハンスされる脂肪成分を含む腫瘍を認め,MRI検査でもT1強調画像のin phaseで高信号の部分がout of phaseで低下したこと,T2強調画像で高信号を認めたことなどより肝血管筋脂肪腫を疑った.手術は腹腔鏡下にボール型とscissor typeの超音波振動メスを使用して肝部分切除を施行した.摘出標本は直径2 cm大の黄褐色の腫瘤で,病理学的にHMB45染色などで肝血管筋脂肪腫と診断された.術後1日目から歩行可能で鎮痛剤はほとんど必要とせず,術後8日目に退院した.腹腔鏡下肝切除は症例を選べば,低侵襲である点で良い手術術式と考えられた.
索引用語
hepatic angiomyolipoma, laparoscopic hepatectomy
日消外会誌 33: 1503-1506, 2000
別刷請求先
森田 眞照 〒569-8686 高槻市大学町2-7 大阪医科大学一般・消化器外科
受理年月日
2000年3月22日
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