臨床経験
術後感染予防についてのアンケート報告
品川 長夫, 真下 啓二, 岩井 重富1), 横山 隆2), 竹山 廣光3)
名古屋市厚生院附属病院外科, 日本大学医学部第3外科1) 広島大学医学部総合診療部2), 名古屋市立大学医学部第1外科3)
外科医を対象としたアンケート調査(回答率:66.2%)の結果,術後感染予防については以下のようなコンセンサスが得られていると考えられた.感染予防薬の選択基準は,(1)手術時に汚染すると予想される細菌(ブドウ球菌属,大腸菌, K. pneumoniae,B. fragilis group)に対して抗菌力を有する薬剤を選ぶ,(2)汚染菌の発育阻止可能な濃度が目的部位で達成される薬剤を選ぶ,(3)重篤な副作用が考えられる薬剤であってはならない,(4)皮膚常在菌叢や腸管内常在菌叢などの生体環境を乱さない薬剤を選ぶ,(5)術後感染症の治療薬として新しい薬剤は残しておく,などであり,代表的な予防薬はペニシリン薬や第1~2世代セフェム薬である.手術中有効濃度を保つように配慮し,無菌手術では2日以内,準無菌手術では4日以内とし,感染が疑われる場合には,早期治療として予防薬を中止し,予防薬とは交差耐性を持たない薬剤に変更するのが原則である.
索引用語
postoperative infection, antibiotic prophylaxis, surgical site infection
日消外会誌 33: 1559-1563, 2000
別刷請求先
品川 長夫 〒465-8610 名古屋市名東区勢子坊2-1501 名古屋市厚生院附属病院外科
受理年月日
2000年4月26日
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