原著
転移巣の動脈血供給量の差からみた大腸癌肝転移の治療効果と成績
角谷 直孝, 泉 良平, 広澤 久史, 福島 亘, 村岡 恵一, 伊藤 博, 寺田 逸郎, 山崎 徹, 天谷 公司
富山市民病院外科
5年間に経験した切除不能の大腸癌肝転移22例を対象として,肝転移に対する肝局所療法の効果および治療成績を,性別,腫瘍の原発部位,肝転移の時期,転移個数,腫瘍量,肝外病変の有無,肝動脈血管造影下CT(CT-A)における転移巣の動脈血供給量の点から検討した.その結果,転移巣の動脈血供給量の豊富な群の奏効率は66.7%と動脈血供給量の乏しい群の10.0%に比べ有意に(p=0.007)高率であった.治療成績について検討すると,CT-Aにおける動脈血供給量の豊富な群の1年,2年,3年生存率は91.7%,46.3%,13.9%と動脈血供給量の乏しい群の33.3%,11.1%,11.1%に比べ有意に(p<0.019)生存率が良好であった.以上から,肝転移巣の動脈血供給量が豊富な例では肝局所療法の治療効果,予後ともに良好と考えられた.さらに,CT-Aを用いて転移巣の動脈血供給量を検討しTAEや肝動注療法を選択することが治療成績の向上につながるものと考えられた.
索引用語
colorectal cancer, liver metastasis, arterial blood supply of liver metastasis, hepatic arterial infusion therapy, transcatheter arterial embolization therapy
日消外会誌 33: 1628-1634, 2000
別刷請求先
角谷 直孝 〒939-8075 富山市今泉北部町2-1 富山市民病院外科
受理年月日
2000年6月28日
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