原著
OK-432とIL-2を用いた徐放製剤のマウス大腸癌肝転移モデルにおける抗腫瘍効果について
安田 邦彦, 杉山 保幸, 加藤 元久, 李 宗一, 佐治 重豊
岐阜大学医学部第2外科
BALB/cマウスにcolon 26を門脈内移植して作製した大腸癌肝転移モデルを用い,OK-432・IL-2封入エマルジョン (BILE) を脾内投与した場合の肝転移抑制効果を検討した.結果,(1)OK-432の肝での滞留はOK-432,IL-2水溶液投与群(BRM群)では投与後10日目まで,BILE群では14日後でも転移結節周囲で確認された.(2)腫瘍移植後14日目の肝転移結節数はBILE群がBRM群および生理食塩水群に比べ有意の低値を示した.(3)肝リンパ球のcolon 26に対する特異的傷害活性は,BILE群,BRM群とも腫瘍移植後10日目まで経時的に漸増後14日目に低下したが,前者の低下程度は緩徐であった.(4)YAC-1細胞に対するNK活性はBILE群が直線的に漸増し,BRM群は変動が軽度であった.以上の結果,OK-432とIL―2を徐放するエマルジョンの経門脈的投与は肝内の免疫担当細胞を賦活して肝転移を抑制する可能性が示唆され,大腸癌肝転移の有用な治療戦略となる可能性が推察された.
索引用語
OK-432, Interleukin (IL) -2, drug delivery system (DDS ), colon 26, metastatic liver tumor
日消外会誌 33: 1635-1642, 2000
別刷請求先
安田 邦彦 〒500-8705 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第2外科
受理年月日
2000年5月23日
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