症例報告
十二指腸への壁内転移を認めた胃癌の1例
水谷 和毅, 別府 俊治, 福光 賞真, 甲斐 英三, 大田 準二, 児玉 一成, 納富 昌徳, 塩田 浩二*, 白水 和雄**
公立八女総合病院外科, 同 病理*, 久留米大学外科**
極めてまれな胃癌の十二指腸への壁内転移症例を経験した.症例は75歳の男性.近医にて胃内視鏡を施行された際に胃内の腫瘍性病変を指摘され,当院に紹介入院となった.胃内視鏡所見では腫瘍は胃体部小彎に占居する3型病変で,生検の結果低分化腺癌と診断された.さらに,幽門輪より約2cm肛側の十二指腸後壁に,中央にびらんを有する粘膜下腫瘍様病変を認めた.同部は生検にて異型細胞は認められなかったが,平滑筋肉腫も否定できず開腹手術の際に切除することとした.手術は胃全摘術,ρ-Roux-Y法再建を行い,十二指腸病変も切除範囲に含めた.胃原発巣の病理組織診断は低分化腺癌であった.十二指腸病変も同様の組織像が見られ,壁内転移と診断された.
索引用語
gastric cancer, duodenal intramural metastasis
日消外会誌 33: 1652-1656, 2000
別刷請求先
水谷 和毅 〒834-0034 八女市高塚540-2 公立八女総合病院外科
受理年月日
2000年5月23日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|