症例報告
胃癌臍転移例の検討
小林 理, 中村 哲之, 斎藤 光徳, 吉川 貴己, 円谷 彰, 西連寺 意勲, 本橋 久彦
神奈川県立がんセンター外科第3科
最近経験した胃癌臍転移例を報告し,本症例を加えた最近10年間の7例について検討した.同期間の胃癌登録は2,070例で,臍転移率は0.34%であった.臍転移再発は3例,非治癒切除後臍転移は2例,同時性臍転移は1例,臍転移先行は1例であった.胃癌は全例Stage IIIA以上のリンパ節転移例で,胃切除から臍転移までの期間は7~53か月であった.臍転移診断は摘除標本が5例,吸引細胞診と捺印細胞診が1例ずつであった.臍単独転移例はなく,全例に腹膜転移を認めた.転移経路を推測すると直接が3例,リンパ行性が2例,血行性が1例,不明が1例であった.治療は臍摘除兼化学療法が5例,摘除および化学療法単独がそれぞれ1例であった.死亡例の臍転移診断後生存期間は4~6か月と不良であった. 胃癌臍転移例の予後決定因子は腹膜転移である.治療法の決定や予後の判定には転移状況の正確な掌握が必要であり,診断的腹腔鏡による腹膜転移診断が有用である.
索引用語
Sister Mary Joseph's nodule of gastric cancer, laparoscopy
日消外会誌 33: 1657-1661, 2000
別刷請求先
小林 理 〒241-0815 横浜市旭区中尾1-1-2 神奈川県立がんセンター外科第3科
受理年月日
2000年5月23日
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