症例報告
平滑筋肉腫と腺扁平上皮癌を呈した中部胆管真性癌肉腫の1例
森 匡, 宗田 滋夫1), 大嶋 正人2), 根津 理一郎1), 吉川 幸伸1)
大阪府立羽曳野病院外科, 日生病院外科1), 同 病理部2)
症例は70歳の男性.黄疸を主訴に近医受診.閉塞性黄疸と診断され,精査加療目的で当院に紹介となった.経皮経肝胆道ドレナージとともに施行された各種画像診断にて中部胆管癌が疑われた.胆汁細胞診および経皮経肝的に生検を行った結果,扁平上皮癌と診断されたため,膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では中部胆管中心に10×28mm大の乳頭型腫瘍が存在した.病理組織学的所見では腫瘍の形態は多様であり,乳頭状に突出した部位のほとんどは非上皮性紡錘形細胞で占居されており,その表面全体および内部の一部は腺癌,扁平上皮癌,扁平上皮化生の組織像が混在していた.非上皮性紡錘形細胞部位はmitosisを多く認め,免疫組織学的検索ではvimentin,SMA,actin染色で陽性を呈したため,平滑筋肉腫と診断された.極めてまれな組織像を呈する胆管癌肉腫と考え文献的考察を加え報告する.
索引用語
carcinosarcoma of bile duct, adenosquamous carcinoma of bile duct, leiomyosarcoma
日消外会誌 33: 1671-1675, 2000
別刷請求先
森 匡 〒583-8588 羽曳野市はびきの3-7-1 大阪府立羽曳野病院外科
受理年月日
2000年6月28日
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