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第33巻 第9号 2000年9月 [目次] [全文 ( PDF 89KB)]
症例報告

膵頭部動静脈奇形による十二指腸潰瘍からの出血に対し緊急幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した1例

西 宏之, 仲原 正明, 荻野 信夫, 城戸 哲夫, 中尾 量保, 辻本 正彦

大阪警察病院外科, 同 病理

 消化管出血により出血性ショックに陥った膵頭部動静脈奇形(AVM)に対し,緊急幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行い救命しえた1例を経験した.患者は57歳の男性.繰り返す十二指腸潰瘍からの出血と腹痛の精査目的のため施行した腹部血管造影検査にて膵頭部AVMと診断された.他院にてAVMへの塞栓術を2回施行するも症状軽快せず,当院に転院.手術待機中に大量吐血からショック状態に陥り緊急手術となった.胃十二指腸動脈の結紮にても出血を制御できず,救命のため幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織検査にて膵周囲から十二指腸粘膜下層にかけての大小不同の動静脈および潰瘍底に露出する静脈が認められた.術後は多臓器不全,DICに陥ったが,回復し,第76病日に退院した.術後19か月の現在,再発を認めない.膵AVM報告66例中の膵頭十二指腸切除施行例は12例であるが,緊急手術による救命例は自験例のみであった.

索引用語
pancreatic arteriovenous malformation, pylorus preserving pancreaticoduodenectomy

日消外会誌 33: 1681-1685, 2000

別刷請求先
西 宏之 〒543-0035 大阪市天王寺区北山町10-31 大阪警察病院外科

受理年月日
2000年5月23日

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