症例報告
虫垂憩室穿孔で発見された虫垂癌の1例
高塚 聡, 山本 篤, 高垣 敬一
弥栄町国民健康保険病院外科
虫垂憩室と虫垂癌はそれぞれまれな疾患である.今回我々は,その両者が併存した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 患者は67歳の女性.右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎の診断で手術を施行した.腹腔内には膿性腹水が貯留し,切除した虫垂の虫垂間膜側に憩室を2個認め,その1つが穿孔していた.病理組織学的に憩室は仮性憩室で,憩室穿孔部は好中球の浸潤が著明であった.また,虫垂根部に印環細胞癌を認め,奬膜下層まで浸潤していた.術後38日目にリンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行したが,切除標本には遺残腫瘍はなく,リンパ節転移も認めなかった. 虫垂憩室と虫垂癌の併存例は本邦では自験例を含め3例のみ報告され,きわめてまれな症例と考えられた.
索引用語
appendiceal diverticulum, appendiceal carcinoma
日消外会誌 33: 1710-1713, 2000
別刷請求先
高塚 聡 〒627-0111 京都府竹野郡弥栄町溝谷3666 弥栄町国民健康保険病院外科
受理年月日
2000年5月23日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|