症例報告
卵黄血管遺残によるイレウスの1例
木村 昌弘, 小林 俊三, 田中 宏紀, 江口 武史, 工藤 淳三, 杉浦 弘典, 杉戸 伸好
名古屋市立東市民病院外科
症例は64歳の男性.腹痛を主訴に近医を受診し,腹痛が増強,嘔吐も出現したため当院緊急入院.来院時腹部は平坦,軟であったが全体に圧痛を認めた.腹部単純X線,小腸造影にて絞扼性イレウスを疑い開腹術を施行した.術中所見は,回盲弁より約5cmの回腸に狭窄を認め,狭窄した回腸の腸間膜前葉および後葉にそれぞれ索状物が存在した.索状物の切除により狭窄は解除された.病理検査で,索状物内の脂肪織に動静脈を認め,卵黄動静脈の遺残によるmesodiverticular bandと診断した.左右の卵黄血管の遺残によるイレウスの本邦報告例は今回検索した範囲では本症例を含めて2例のみで,極めてまれと考えられた.
索引用語
vitelline vascular remnants, mesodiverticular band, ileus
日消外会誌 33: 1729-1732, 2000
別刷請求先
木村 昌弘 〒464-8547 名古屋市千種区若水1-2-23 名古屋市立東市民病院外科
受理年月日
2000年6月28日
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