臨床経験
胆管非拡張型膵管胆道合流異常に合併した胆管癌の1例
西村 公志, 小野山 裕彦, 橋本 可成, 安積 靖友, 高尾 信太郎, 中路 太門, 高橋 応典, 西藤 勝, 嵯峨山 健, 裏川 公章
大阪府済生会中津病院外科
膵・胆管合流異常の診断にMRCPが有用であった胆管非拡張型合流異常に合併した胆管癌の1例を経験したので報告する.症例は70歳の女性.一過性の右季肋部痛あり,その6か月後黄疸が出現した.全身状態は暦年齢以上に不良であった.MRCPでは中部胆管に縦径2cmの腫瘍像,胆管の完全閉塞がみられたが,腫瘍より下流の胆管に拡張はなく,共通管が1.5cmの胆管合流型の膵・胆管合流異常を認めた.高齢で低栄養であるため,胆管切除術を施行した.手術診断はEM1,DM0,HM0,Surgical Stage I,Cur Bであったが,病理組織学的所見は高分化型管状腺癌,hm2,em2,comprehensive stage II,cur Cであり癌の遺残を認めた.本例は非拡張型合流異常における積極的分流手術の必要性を示唆する1例と考えられた.
索引用語
pancreaticobiliary maljunction, bile duct cancer, MRCP
日消外会誌 33: 1733-1736, 2000
別刷請求先
西村 公志 〒530-0012 大阪市北区芝田2-10-39 大阪府済生会中津病院外科
受理年月日
2000年5月23日
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