原著
大腸癌におけるp53変異,p21(WAF1)発現とアポトーシス誘導の検討
勝又 健次, 壽美 哲生, 山本 啓一郎, 片柳 創, 室橋 隆, 長島 一浩, 葦沢 龍人, 小柳 泰久*, 青木 達哉*, 加藤 孝一郎*
東京医科大学八王子医療センター消化器外科, 東京医科大学外科*
大腸癌92症例においてp53の点突然変異,p21(WAF1)の発現を測定し,アポトーシスの出現を検討した.p53はPCR-SSCP法にて点突然変異,p21は免疫染色法にて20%以上の癌細胞核が染色されるものを陽性とし,アポトーシスはDNAのラダーにて検索した.p53点突然変異の有無,p21の発現と病理学的因子の相関は認めなかった.p53とp21,DNAラダーの出現との間には相関関係はなく,p21陽性例ではDNAラダーの出現率が低く,p21陰性例ではDNAラダーの出現率が高かった(p<0.0115).さらに,p53点突然変異を認めない群ではp21陽性例でDNAラダーの出現を認めず,陰性例ではDNAラダーの出現率が高かった(p<0.0015).以上よりp21の存在によりDNAが修復されアポトーシスは誘導されず,p53が機能している場合にはp21によりさらに強い傾向があることが示された.
索引用語
colon cancer, p53, p21, apoptosis, DNA ladder
日消外会誌 33: 1751-1757, 2000
別刷請求先
勝又 健次 〒193-0944 八王子館町1163 東京医科大学八王子医療センター
受理年月日
2000年7月25日
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