症例報告
胃癌術後サイトメガロウイルス肺炎の2治験例
樋渡 清司, 石神 純也, 崎田 浩徳, 帆北 修一, 夏越 祥次, 愛甲 孝
鹿児島大学医学部第1外科
胃癌術後に発症したサイトメガロウイルス(以下,CMV)肺炎の2治験例を経験した.症例1は63歳の男性.4型胃癌に対して術前腹腔内にシスプラチンを投与し,胃全摘術を施行した.術後間質性肺炎を発症した.CMV肺炎を疑い,抗ウイルス剤を先行投与し,軽快治癒した.原因検索の結果,CMV肺炎と診断された.症例2は66歳の男性.左肺癌と早期胃癌の重複癌で,術前放射線療法を受けていた.幽門側胃切除術施行後,間質性肺炎をきたした.抗ウイルス剤投与にて治癒しえた.治療後にCMVが同定された.両症例とも肺炎発症時にリンパ球数は低下しており,術前の化学療法あるいは放射線療法による免疫能低下がCMV肺炎発症に関与したと推定された.抗ウイルス剤による治療後に起因ウイルスが同定された.CMV肺炎の治療成績は不良であり,本疾患が強く疑われる場合,抗ウイルス剤の早期投与は有用と考えられた.
索引用語
cytomegalovirus, gastric cancer, pneumonia
日消外会誌 33: 1767-1770, 2000
別刷請求先
樋渡 清司 〒890-8520 鹿児島市桜ヶ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
2000年7月25日
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