症例報告
化学療法が奏効した十二指腸原発悪性リンパ腫の1例
土井 新也, 奥村 徹, 秋元 佳太郎, 三崎 三郎, 本郷 三郎, 中野 博重*
奈良県立五條病院外科, 奈良県立医科大学第1外科*
症例は64歳の男性.上腹部痛を主訴に来院した.内視鏡下生検の結果,十二指腸原発の悪性リンパ腫と診断した.CHOP療法を2クール行ったが,十二指腸狭窄による通過障害を認めたため,膵頭十二指腸切除術を行った.切除標本の病理組織所見では,リンパ腫成分を認めず,CHOP療法により完全寛解が得られていたことが判明した.従来,本症例のようなNaqviの臨床病期stage Iにあたる早期の消化管原発悪性リンパ腫には手術治療が第1選択とされ,進行例には集学的治療が行われていた.しかし,最近では本症例と同じく,早期症例に対する化学療法有効例が報告されている.長期予後については今後検討を要するが,今回の治験から,十二指腸悪性リンパ腫のstage I症例に対する化学療法は有効であると考えられた.
索引用語
primary malignant lymphoma of the duodenum, chemotherapy
日消外会誌 33: 1771-1774, 2000
別刷請求先
土井 新也 〒631-0846 奈良市平松1-30-1 奈良県救命救急センター
受理年月日
2000年6月28日
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