症例報告
同時性多発性十二指腸,小腸T細胞型悪性リンパ腫の1例
正木 裕児, 岡田 敏正, 定平 吉都*
医療法人岡村一心堂病院外科, 川崎医科大学病理学*
十二指腸と小腸に同時性に多発し,穿孔性腹膜炎をきたしたT細胞性悪性リンパ腫を経験した.症例は75歳の男性,主訴は上腹部痛で上部消化管内視鏡で十二指腸潰瘍が認められた.潰瘍部からの生検にてT細胞型悪性リンパ腫と診断されたため,cyclophosphamide,adriamycin,vincristine,prednisolone療法(以下,CHOP療法)を3クール施行し,外来で経過観察していたところ強い上腹部痛で来院,腹部CTにてfree airを認め消化管穿孔による汎発性腹膜炎にて緊急手術を施行した.術中に小腸に多発する腫瘍を認め,その1か所が穿孔を起こしていた.消化管原発T細胞性悪性リンパ腫はまれで,B細胞性悪性リンパ腫に比べ予後は悪く,注意すべき疾患であると考えられた.
索引用語
T-cell malignant lymphoma, multiple
日消外会誌 33: 1775-1779, 2000
別刷請求先
正木 裕児 〒704-8117 岡山市西大寺南2-1-7 岡村一心堂病院外科
受理年月日
2000年6月28日
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