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第33巻 第10号 2000年10月 [目次] [全文 ( PDF 124KB)]
症例報告

画像診断上興味ある形態変化を呈した肝嚢胞腺癌の1例

宇野 雄祐, 平野 誠, 川口 雅彦, 村上 望, 野澤 寛, 吉野 裕司, 塚山 正市, 太田 尚宏, 橘川 弘勝

厚生連高岡病院外科

 症例は55歳の女性.1997年8月に検診の腹部超音波検査で肝内側区に8cm大の単房性嚢胞を発見された.腹部CT検査では,嚢胞内壁は平滑で,内腔は均一な低吸収性単房性嚢胞であった.1998年10月27日,背部痛を主訴に当科を受診した.腹部超音波検査で,嚢胞の内部に2.5cm大の小嚢胞を認めた.腹部CT検査では,嚢胞壁に内腔へ突出する乳頭状隆起もみられた.動脈造影下CT検査では,嚢胞壁,嚢胞内腔の不整隆起,および小嚢胞壁が造影された.以上より,肝嚢胞腺癌の疑いで肝内側区域部分切除術を行った.切除標本では嚢胞壁内に小嚢胞以外にも微小嚢胞を認めた.病理組織学的検査では,嚢胞壁全体と小嚢胞壁は癌組織であるが,微小嚢胞の内壁は腺腫と診断された.本症例では,肝嚢胞腺腫から肝嚢胞腺癌が発生したものと思われた.さらに,経過観察中に認められた嚢胞の形態変化は,癌細胞の増殖によってもたらされたものと考えられた.

索引用語
biliary cystadenocarcinoma, biliary cystadenoma, liver cyst

日消外会誌 33: 1780-1784, 2000

別刷請求先
宇野 雄祐 〒933-8555 高岡市永楽町5-10 厚生連高岡病院外科

受理年月日
2000年7月25日

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