症例報告
下大静脈原発平滑筋肉腫の1切除例
土屋 誉, 佐藤 俊, 生澤 史江, 西條 文人, 兒玉 英謙, 内藤 剛, 赤石 敏, 小針 雅男, 茂泉 善政*, 山崎 匡
仙台市医療センター仙台オープン病院外科, 同 心臓血管外科*
症例は52歳の女性.腹痛を主訴として前医受診,手術にてIVC原発腫瘍と判明したため当院紹介された.IVC造影ではIVCの閉塞,側副血行路の形成は見られなかった.開腹すると腫瘍は中部IVCより壁外性に発育しており,右腎静脈への浸潤を認めた.右腎静脈を大伏在静脈にて再建した後,IVCの単純遮断下に腫瘍をIVCとともに切除し,IVCは人工血管にて再建した.病理組織診断は平滑筋肉腫であった.術後6か月のMRI検査ではIVCのpatencyは保たれていた.術後17か月経過した現在,再発の兆候なく外来通院中である.下大静脈原発平滑筋肉腫は本邦での報告は自験例を含めて53例で,IVC切除後人工血管にて再建された症例は12例である.IVC切除にあたっては血流遮断時の体外循環の必要性,腎静脈の処理方法などをIVC造影,術中所見から判断することが重要である.
索引用語
leiomyosarcoma, inferior vena cava
日消外会誌 33: 1826-1830, 2000
別刷請求先
土屋 誉 〒983-0824 仙台市宮城野区鶴ヶ谷5-22-1 仙台市医療センター仙台オープン病院外科
受理年月日
2000年9月20日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|