症例報告
直腸腺腫および粘膜内癌の経仙骨的腫瘍摘除術後,粘膜下に粘液癌の発生がみられた2例
伊藤 誠二, 平井 孝, 加藤 知行
愛知県がんセンター消化器外科
直腸の腺腫および粘膜内癌に対して行った経仙骨的腫瘍摘除術後,粘膜下に粘液癌の発生を見た2例を経験した. 症例1:直腸腺腫に対して内視鏡摘除術,さらに経仙骨的腫瘍摘除術を施行後,2年3か月を経過して同部位に粘膜下腫瘍が出現し,切開生検を行ったところ粘膜下にmucinous carcinomaを認め,直腸低位前方切除術を施行した. 症例2:直腸粘膜内癌に対し経仙骨的切除を施行したが,同部位にポリープが再発し,経肛門的切除,さらに内視鏡摘除術を行った.初回手術より4年6か月後,触診,EUS所見から粘膜下の腫瘍性病変を疑い,切開生検で粘膜内にadenoma,粘膜下にmucinous carcinomaを認め,腹会陰式直腸切断術を施行した. 直腸腫瘍局所切除に対する経仙骨的腫瘍切除後には,本症例のごとき粘膜下の再発を念頭におくことが重要である.
索引用語
rectal mucinous carcinoma, trans-sacral excision, submucosal recurrence of rectal neoplasms
日消外会誌 33: 1844-1848, 2000
別刷請求先
伊藤 誠二 〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第2外科
受理年月日
2000年9月20日
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