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第33巻 第12号 2000年12月 [目次] [全文 ( PDF 125KB)]
症例報告

Fibrolamellar hepatocellular carcinomaの1例

野尻 卓也, 三森 教雄, 吉田 達也, 篠原 寿彦, 朝倉 潤, 土肥 直樹,三好 勲, 山崎 洋次, 羽野 寛**

神奈川県立厚木病院外科, 東京慈恵会医科大学外科, 同 病理**

 本邦では非常にまれなfibrolamellar hepatocellular carcinoma(以下,FLC)を経験したので報告する.症例は27歳の女性.肝腫瘍を指摘され当院へ入院した.肝炎ウィルス抗原,抗体は認めず,腫瘍マーカーはAFP 4.6ng/ml,PIVKA-II 108mAU/mlであった.USおよびCT検査で肝右葉に直径10cm大の腫瘍が認められた.造影CT早期相にて腫瘍濃染像を,遅延相にて被膜および中心部より放射線状に延びる隔壁が濃染されたが,腫瘍中心部分は造影されなかった.血管造影では腫瘍濃染像,門脈浸潤を認めた.また,消化管には悪性病変は認めなかった.以上より原発性肝細胞癌と診断し,拡大右葉切除術を施行した.術後の病理組織学的検索によりFLCと診断された.FLCは肝硬変のない若年成人に好発する孤立性の原発性肝癌であり,AFPの上昇は目立たない.その予後は切除により比較的良好とされている.

索引用語
fibrolamellar hepatocellular carcinoma, alpha-fetoprotein, non liver cirrhosis

日消外会誌 33: 1905-1909, 2000

別刷請求先
野尻 卓也 〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科

受理年月日
2000年9月20日

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