原著
切除不能・再発胆管癌・胆嚢癌・膵癌に対するexpandable metallic stent症例の予後に関する検討
青松 幸雄, 中島 祥介, 金廣 裕道, 久永 倫聖, 高 済峯, 長尾 美津男, 小林 経宏, 穴井 洋*, 打田 日出夫*, 中野 博重
奈良県立医科大学第1外科, 同 放射線科*
悪性胆道閉塞に対する減黄処置としてのexpandable metallic stent(EMS)は,患者のQOLの改善を目的として使用されてきた.今回,我々は切除不能または再発胆管癌・胆嚢癌・膵癌においてその有用性を予後および退院可能患者数に関して検討した.【対象と方法】1988年より1999年3月までに当科を受診し,EMSによる胆道内瘻術を施行した,切除不能または再発胆管癌17例・胆嚢癌10例・膵癌10例のEMS挿入後の生存期間,退院可能率に関して検討した.【結果】膵癌・胆嚢癌・胆管癌における生存期間の中央値は,それぞれ2.0月,4.7月,7.3月であり,膵癌・胆嚢癌・胆管癌の順に有意に予後が不良であった.膵癌の退院可能患者率は20%と有意に低かった.【結語】EMS挿入後の胆管癌・胆嚢癌に対しては良好なQOLが得られるものの,膵癌の生存期間は短く退院率が低いことより,原疾患の進行度に応じた治療法が選択されるべきである.
索引用語
expandable metallic stent, malignant biliary obstruction, quality of life
別刷請求先
青松 幸雄 〒634-8522 橿原市四条町840 奈良県立医科大学第1外科
受理年月日
2000年10月31日
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