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第34巻 第1号 2001年1月 [目次] [全文 ( PDF 122KB)]
症例報告

食道アカラシアに対する胃弁移植術後のBarrett上皮に発生した噴門部食道腺癌の1例

水谷 聡1), 稲田 高男1), 津浦 幸夫2), 五十嵐 誠治2), 石川 勉3), 尾形 佳郎1)

栃木県立がんセンター外科1), 病理2), 画像診断部3)

 われわれは28年前に食道アカラシアに対し胃弁移植術を施行し,術後2次的に発生したと考えられるBarrett上皮由来の2型噴門部食道腺癌を経験した.症例は55歳の男性で嚥下困難を訴え,上部消化管内視鏡にて噴門部に2型進行癌を認めた.生検では,腫瘍からは中分化型管状腺癌,腫瘍周囲のルゴール不染領域からは円柱上皮が得られた.術前診断で噴門部進行Barrett食道腺癌と診断し,下部食道・噴門側胃切除+脾摘術を施行した.病理組織学的には,腫瘍はBarrett上皮に囲まれた乳頭腺癌であり,胃壁には胃弁移植術による筋層断裂,食道壁にはアカラシアに相当する所見が認められた.本例においては食道アカラシアに対する胃弁移植術に起因する逆流性食道炎がBarrett食道を形成し,さらに腺癌が発症したものと考えられた.

索引用語
adenocarcinoma arising from Barrett's esophagus, Achalasia, fundic-patch procedure

日消外会誌 34: 27-31, 2001

別刷請求先
水谷 聡 〒320-0834 宇都宮市陽南4-9-13 栃木県立がんセンター外科

受理年月日
2000年9月20日

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