完全型虫垂重積症を呈した虫垂癌の1例

生田　義明, 杉原　重哲, 小林　広典, 金子　隆幸, 江上　哲弘, 堀地　義広^＊

社会保険下関厚生病院外科, 螢クリニック^＊

　完全型虫垂重積症を呈した虫垂癌の1例を経験したので報告する．患者は74歳の女性で，便潜血反応陽性のため，精査を受けた．注腸造影X線検査および下部消化管内視鏡検査にて回盲部腫瘤を認め，腹腔鏡補助下回盲部切除術を行った．切除標本の病理組織学的検索では盲腸内腔に内翻，重積した虫垂癌で，mp, ly₁, v₀, n (－), stage Iであった．虫垂重積症を術前に確定診断することは難しく，術前の検査所見について検討したところ，注腸造影X線検査，下部消化管内視鏡検査および腹部CT検査が有効であるが，腹腔鏡による腹腔内観察を併用することにより確定診断を容易にすると考えられた．

索引用語
cancer of the appendix, intussusception of the appendix

別刷請求先
生田　義明　〒750-0061　下関市上新地町3-3-8　社会保険下関厚生病院外科

受理年月日
2000年10月31日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です