症例報告
大腸全摘・回腸肛門管吻合術後,残存直腸より大量出血した潰瘍性大腸炎再燃の1例
高橋 祐, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 塩見 正哉, 籾山 正人, 伊神 剛, 太平 周作, 森 俊治, 上原 圭介, 宮崎 晋
名古屋第二赤十字病院外科
潰瘍性大腸炎の手術術式のひとつに大腸亜全摘・回腸肛門管吻合術があるが,残存直腸の炎症再燃という問題点がある.今回われわれは残存直腸の炎症再燃による大量出血のため残存直腸切断術を施行した1例を経験した.症例は21歳の男性.1996年全大腸炎型潰瘍性大腸炎で大腸亜全摘・J型回腸嚢肛門管吻合術を施行した.1999年9月下血,肛門痛のため入院となった.入院2日目に大量下血が出現し倒れているところを発見され,血圧60台,Hb 5.0g/dlと出血性ショックを呈していた.肛門痛が強く,内視鏡による診断治療は困難と判断し,緊急手術を施行した.骨盤内の癒着が強固であったため,残存直腸粘膜抜去・回腸肛門吻合は困難と考え,残存直腸切断・回腸瘻造設術を施行した.残存直腸粘膜は炎症によりすべて脱落していた.病理診断は潰瘍性大腸炎・活動期で,悪性所見は認めなかった.
索引用語
ulcerative colitis, ileoanal canal anastomosis, postoperative complications
別刷請求先
高橋 祐 〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1 国立がんセンター中央病院医局
受理年月日
2000年10月31日
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