症例報告
腹腔側チューブが直腸に穿通し,肛門より脱出したV-P(脳室・腹腔)シャントの1例
新川 弘樹, 井上 孝志, 藤田 尚久, 野尻 亨, 古谷 嘉隆, 黒田 敏彦, 仲 秀司, 安原 洋, 和田 信昭
帝京大学医学部附属市原病院外科
V-P(脳室・腹腔)シャントの腹腔側チューブが直腸に穿通し,肛門より脱出した稀有な1例を経験したので報告する.症例は74歳の男性.他院で脳内出血後の正常圧水頭症に対し,V-Pシャントを施行された.10か月後,髄膜炎で当院脳外科に入院,抗生物質投与により軽快していた.入院3か月後,肛門よりシャントチューブが脱出しているのを発見され,当科紹介となった.腹部には圧痛,腹膜刺激症状を認めず,白血球数6,400/mm3,CRP 1.9mg/dlと炎症反応は軽度で,ガストログラフィンRによる注腸造影X線検査で造影剤の漏出は認めなかった.大腸内視鏡検査ではチューブは肛門縁から10cmの直腸右側壁を穿通していた.腹膜炎所見がないことから,経肛門的にチューブを抜去した.1週間後の注腸検査で造影剤の漏出がないことを確認し,経口摂取を再開した.V-Pシャントチューブの消化管穿通はまれであるが,注意すべき合併症の1つと考えられた.
索引用語
ventriculoperitoneal shunt, bowel perforation
別刷請求先
新川 弘樹 〒299-0111 市原市姉崎3426-3 帝京大学医学部附属市原病院外科
受理年月日
2000年10月31日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|