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第34巻 第2号 2001年2月 [目次] [全文 ( PDF 76KB)]
症例報告

胃癌からの小脳転移が疑われた1例

菅谷 義範1), 齋木 浩士2), 荒木 俊光3), 成田 公昌3)

南勢町立病院外科1), 川村病院内科2), 三重大学第2外科3)

 胃癌術後に小脳転移が疑われた1例を経験した.症例は72歳の男性で,胃噴門部から胃角部にかけて3型胃癌が認められたので胃全摘術,脾合併切除を行い,術後癌化学療法は点滴および経口にて行った.術後5か月頃より嘔気と体のふらつき感が出現したため頭部CT検査を行ったところ小脳に出血を疑わせる所見が認められた.その後,MRI,シンチグラムなどによる精査にて多発性の転移性小脳腫瘍と診断されたが,大脳には転移は認められなかった.また,肝,肺および腹腔内にも転移は認められず,局所再発も認められなかった.予後などについてのインフォームド・コンセントを行ったところ,家人が転移巣に対する治療を望まなかったので保存的治療のみを行った.胃癌の脳転移はまれであり,本例のように他臓器転移が無くしかも小脳のみに転移が疑われた例はさらに少ない.一般に転移性脳腫瘍の予後は不良である.

索引用語
gastric cancer, cerebellar metastasis

日消外会誌 34: 100-104, 2001

別刷請求先
菅谷 義範 〒516-0101 三重県度会郡南勢町五ヶ所浦2969 南勢町立病院外科

受理年月日
2000年11月29日

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