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第34巻 第2号 2001年2月 [目次] [全文 ( PDF 66KB)]
症例報告

肝直接浸潤に起因する肝膿瘍を併発した上行結腸癌の1例

秋山 裕人, 小野 要, 高野 学1), 鳥本 雄二2)

稲沢市民病院外科1), 三菱名古屋病院外科2)

 肝直接浸潤を伴った大腸癌はまれであるが,これに起因する肝膿瘍を術前に併発した報告はない.肝直接浸潤に伴う瘻孔形成に起因する肝膿瘍により術前に重篤な状態となった1例を経験した.症例は69歳の男性.主訴は右季肋部痛,易疲労感.近医より貧血を指摘され当院受診,諸検査で肝S6に直接浸潤を伴う上行結腸癌と診断した.入院後1週目から発熱が出現し,画像診断で肝浸潤部に連続する肝膿瘍と診断した.抗生剤投与で保存的加療したが,予定手術の3日前頃より高血糖と血小板数低下が出現した.肝膿瘍も増大したが,経皮経肝膿瘍ドレナージ術は腫瘍の散布を危ぐし施行しなかった.予定手術施行し,腫瘍剥離に伴い肝膿瘍内容液が流出し,これを吸引した.結腸右半切除術および肝浸潤部と肝膿瘍壁の大部分を含めて肝S5,6部分切除術を行った.切除標本の検索で,2型大腸癌の潰瘍底から肝浸潤部に穿通を認め,肝膿瘍形成の原因と考えた.

索引用語
liver abscess, colon cancer invasion to the liver, cancerous fistula of colon cancer

日消外会誌 34: 123-126, 2001

別刷請求先
秋山 裕人 〒492-8510 稲沢市御供所町1-1 稲沢市民病院外科

受理年月日
2000年10月31日

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