大腸癌膵転移の1切除例

龍沢　泰彦, 黒川　勝, 持木　大, 大沢　武, 永島　清和, 八木　真悟, 藤岡　重一, 山田　哲司, 北川　晋, 中川　正昭　　　　　　　　　　　　　　

石川県立中央病院一般消化器外科

　症例は69歳の男性で，1980年に右肺癌，1988年に直腸癌，1993年に直腸癌の左肺転移にてそれぞれ手術をうけている．1996年1月より血清CEA値が上昇し，同年12月には58.0ng/mlとなった．1997年1月の腹部CTにて膵尾部に径1.5cm大の充実性腫瘍が認められた．腹部血管造影上は周囲膵実質よりもよく染まる腫瘍で，転移性膵腫瘍が疑われた．また大腸内視鏡検査にて上行結腸に2型の腫瘍を認め，生検にて中分化腺癌と診断された．転移性膵腫瘍および上行結腸癌の診断にて膵体尾部・脾合併切除，結腸右半切除術を施行した．病理組織学的に上行結腸癌はmp，ly₂，v₀，n₁（＋），膵腫瘍は大腸癌の転移であったが，直腸癌と上行結腸癌のどちらからの転移かは鑑別不能であった．大腸癌の膵転移はきわめてまれで，その切除例は本邦では自験例が6例目である．術後3年5か月経過した現在，再発の徴候なく外来通院中である．

索引用語
metastatic pancreatic tumor, colorectal cancer

別刷請求先
龍沢　泰彦　〒920-0353　金沢市赤土町ニ13-6　石川県済生会金沢病院外科

受理年月日
2000年11月29日

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