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第34巻 第2号 2001年2月 [目次] [全文 ( PDF 98KB)]
症例報告

肝転移巣切除後に発見された微小直腸カルチノイドの1例

野坂 俊壽, 五関 謹秀, 岩井 武尚, 明石 巧

東京医科歯科大学第1外科, 同 病理部

 症例は57歳の女性.右上腹部痛を主訴に検索したところ,肝右葉に7×6×3cmの腫瘤が認められ,針生検でカルチノイドと診断された.全身検索したものの他臓器に異常なく,原発性肝カルチノイドの術前診断で肝後区域切除を施行した.術中所見で肝左葉表面に径5mmの,さらに切除標本の病理検査で肝右葉腫瘍近傍に径0.5mmのカルチノイド腫瘍が認められた.手術後8か月して,直腸に径5mmで壁深達度smのカルチノイド腫瘍が見つかり,内視鏡的に切除した.2年後肝内再発を生じ切除したものの,その後多発性再発を生じ,最初の肝切除から6年以上経過して生存中である.微小直腸カルチノイドの転移はまれであるが,本症例では径5mmながら原発巣であり,肝カルチノイドはその転移巣と考えられた.径10mm以下の直腸カルチノイドで肝転移を生じた本邦報告例は自験例を含めて15例あり,若干の文献的考察を加え報告する.

索引用語
small rectal carcinoid, metastatic liver carcinoid

日消外会誌 34: 137-141, 2001

別刷請求先
野坂 俊壽 〒113-8519 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科

受理年月日
2000年10月31日

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