症例報告
空腸迷入膵より発生した腺癌の1例
上村 佳央, 小林 研二, 吉田 浩二, 関 洋介, 松山 仁, 青木 太郎, 請井 敏定, 宮内 啓輔, 金子 正
公立学校共済組合近畿中央病院外科
症例は72歳の男性.腹痛,嘔吐を主訴に来院し腸閉塞の診断で入院した.腸閉塞の治療中イレウスチューブより小腸造影を施行した結果,小腸に腫瘍による閉塞像が認められた.腫瘍マーカーCA19-9が70U/mlと高値であった.小腸癌の診断で手術を施行したところ,Treitz靭帯より約130cmの空腸に腫瘍による閉塞部を確認した.腫瘍は粘膜下腫瘍様で大部分は正常粘膜におおわれていた.病理組織学的所見では腺房細胞と膵導管より成る迷入膵組織(Heinrich II type)に接して管状増殖を示す腺癌が存在した.所属リンパ節に転移巣が確認された.病理組織診断はwell-differentiated adenocarcinoma,se,n1,ly2,v0,INFγであった.空腸迷入膵の癌化例は極めてまれであり本症例で本邦5例目の報告である.
索引用語
aberrant pancreas, jejunum, adenocarcinoma
別刷請求先
上村 佳央 〒664-8533 伊丹市車塚3-1 公立学校共済組合近畿中央病院外科
受理年月日
2000年12月19日
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