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第34巻 第3号 2001年3月 [目次] [全文 ( PDF 123KB)]
症例報告

C-kit陽性の直腸gastrointestinal stromal tumorの1例

野澤 寛, 平野 誠, 村上 望, 宇野 雄祐, 菊地 勤, 奥田 俊之, 雄谷 純子, 橘川 弘勝, 増田 信二

厚生連高岡病院外科, 同 病理科

 症例は80歳の男性.下血,肛門部痛を主訴に来院した.歯状縁直上の下部直腸に亜全周性の2型様腫瘍を認めた.生検にてCD34が強陽性であり直腸GISTと考えられ,腹会陰式直腸切断術を施行した.切除標本では腫瘍は11×9cmの粘膜下腫瘍の形態を示しているが,中心部は自潰し潰瘍を形成していた.腫瘍は被膜を有しており,明らかな被膜外浸潤やリンパ節転移はみられなかった.組織学的には核異型の弱いspindle cell tumorであり,核分裂像は多いところで10視野中4個であった.切除標本の免疫組織染色ではc-kit,CD34が強陽性であった.GISTの発生母地がCajalの介在細胞由来であると考えられるようになり,CD34およびc-kit抗体を用いた免疫学的手法はGISTの診断には不可欠である.本症例は両者が強陽性を示したことより神経原性,筋原性への明らかな分化を示さない狭義のGISTと考えられた.

索引用語
gastrointestinal stromal tumor, c-kit, CD34

日消外会誌 34: 287-291, 2001

別刷請求先
野澤 寛 〒933-8555 高岡市永楽町5-10 厚生連高岡病院外科abc

受理年月日
2000年11月29日

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