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第34巻 第4号 2001年4月 [目次] [全文 ( PDF 76KB)]
原著

手術侵襲による生体反応に対するラジカルスカベンジャーEPC-K1およびMethylprednisoloneの効果

平井 敏弘, 桧原 淳, 井上 秀樹, 峠 哲哉, 井上 優, 阪上 享宏

広島大学原爆放射能医学研究所腫瘍外科, 千寿製薬創薬研究所

 手術侵襲が腫瘍の転移を促進し,その主因であるサイトカイン・ストームの制御が臓器障害にみならず癌患者の予後の向上にも重要であることを報告してきた.今回ラットを用いてEPC-K1とmethylprednisolone(MP)が,手術侵襲後の血清中の各種反応物質にどのように影響を与えるかについて検討した.手術侵襲後のIL-6値は開胸開腹(TL)後に有意に上昇した.Endotoxin値は同様に上昇したが有意ではなかった.LPOおよびcorticosterone値は手術直後値が上昇した.IL-6およびendotoxin値はEPC-K1およびMPで抑制された.LPO値はEPC-K1でのみ抑制された.血清corticosterone値は両者で抑制されず,MP群でより高値であった.さらに,開胸開腹術後にsecond attackを負荷すると血清IL-6値およびNO値,肝LPO値は著明に上昇し,EPC-K1およびMPはこれを抑制する傾向は示したがその効果は不十分であった.以上の結果より,EPC-K1はMPよりも術後反応物質を効率よく抑制したが,second attackがかかった場合にはその抑制効果は不十分であることが判明した.

索引用語
operative stress, radical scavebger EPC-K1, methylprednisolone, cytokine, second attack

日消外会誌 34: 323-328, 2001

別刷請求先
平井 敏弘 〒734-8553 広島市南区霞1-2-3 広島大学原医研腫瘍外科

受理年月日
2000年12月19日

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