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第34巻 第4号 2001年4月 [目次] [全文 ( PDF 52KB)]
特集

進行消化器癌に対する癌ワクチン療法のtumor dormancy therapyとしての可能性

上田 祐二, 伊藤 剛, 奥川 郁, 藤原 斉, 藤 信明, 吉村 哲規, 山下 哲郎, 藤木 博, 原田 佐智夫, 山岸 久一

京都府立医科大学消化器外科学教室

 我々の施設において施行している,進行固形癌患者に対するHLA-A24拘束性CTL誘導性CEAペプタイドと末梢血単球由来樹状細胞を用いた癌ワクチン療法のtumor dormancy therapyとしての可能性を検討した.対象症例は15例であるがそのほとんどが消化器癌患者である.6例に治療開始後血清CEA値の低下あるいは上昇の抑制が認められた.これら血清CEA値の変動から判断した有効症例においては,無効例に比べ平均生存期間が延長する傾向が認められ,tumor dormancyからlong NCを経て,治療開始後1年半を経過している長期生存例も得ている.特異的能動免疫療法である本療法が有効に作用するためには,PHA幼若化反応に代表される患者末梢血Tリンパ球の反応性が保たれている事が必要であった.今後はbulky tumor massから開放された外科手術後,あるいは化学,放射線療法後の微小残存病変からの再発を予防するために臨床応用されていくべきものであり,そこに本療法のtumor dormancy therapyとしての意義も見出されるであろう.

索引用語
cancer vaccine therapy, tumor dormancy therapy, carcinoembryonic antigen

日消外会誌 34: 409-414, 2001

別刷請求先
上田 祐二 〒602-8566 京都市上京区河原町広小路上る梶井町465 京都府立医科大学消化器外科

受理年月日
2000年12月19日

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