噴門部早期癌症例の検討

孝冨士　喜久生, 武田　仁良, 青柳　慶史朗, 矢野　正二郎, 村上　直孝, 末吉　晋, 山名　秀明, 藤田　博正, 白水　和雄

久留米大学医学部外科

　1980年から1999年までに教室で切除した食道胃接合部より2 cm 以内の噴門部早期癌27例と噴門部を除く胃上部早期癌（非噴門部早期癌）99例を対象として，男女比，平均年齢，腫瘍長径，肉眼型，組織型，深達度，リンパ節転移率，食道裂孔ヘルニアの頻度を比較検討した．また，食道腺癌3例も検討した．
　噴門部早期癌は，非噴門部早期癌に比べ，平均年齢，隆起型病巣の頻度，分化型腺癌の頻度が有意に高かった（p＜0.05）．食道裂孔ヘルニア合併頻度は，噴門部早期癌が33.3％，非噴門部早期癌が12.1％で，噴門部早期癌が有意に高かった（p＜0.05）．一方，男女比，腫瘍長径，深達度，リンパ節転移率に有意な差はなかった．食道腺癌3例は，2例が Bareett 食道由来，1例が異所性胃粘膜由来と思われた．以上より，噴門部癌の早期発見は食道裂孔ヘルニア内を内視鏡で注意深く観察することが重要と思われた．

索引用語
early cardiac cancer, Barrett esophagus, esophageal hiatal hernia, adenocarcinoma of the esophagus

別刷請求先
孝冨士　喜久生　〒830-0011　久留米市旭町67　久留米大学医学部外科学教室

受理年月日
2001年2月28日

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