術中胆道内圧測定からみた傍乳頭憩室合併
総胆管結石症の病態と治療

永野　靖彦, 関戸　仁, 吉本　昇, 藤井　義郎, 長堀　薫, 渡会　伸治, 嶋田　紘

横浜市立大学第2外科学教室

　対象：傍乳頭憩室合併総胆管結石症に対する胆道負荷手術の適応を十二指腸負荷胆道内圧測定法より検討した．1994年から1999年までに術中胆道内圧を測定した総胆管結石症40例を対象とした．方法：検査方法は可変式定流灌流胆道内圧測定を施行した．除石後，胆管内にカテーテルを挿入し，Truth 型注入ポンプを用いて4段階の定流量で負荷をかけ，マノメーターにて圧測定を施行した．横軸を灌流量，縦軸を灌流圧としてグラフを作成し，その傾きを R 値（抵抗），灌流量直線 O の灌流圧を P 値（残圧）として求めた．傍乳頭憩室合併例は17例で，これらには十二指腸内圧負荷（20cmH₂O）による胆道内圧測定を施行した．結果：（1）傍乳頭憩室合併例では P 値が8.40±2.91cmH₂Oであり，非合併例の15.67±6.74cmH₂Oに比較して有意に低下していた．（2）術後再発例は2例，術後胆管炎発症例は2例であった．これら4例のうち3例は傍乳頭憩室を合併していた．（3）十二指腸内圧負荷前後の R 値差が8以上の2例は，術後再発，胆管炎を認め，一方，R 値差2未満の15例には1例に再発を認めた．この1例はP値，R 値ともに低い乳頭機能不全型であった．考察：以上より，傍乳頭憩室合併例で十二指腸負荷によりR値が著明に上昇する症例は，再発および術後胆管炎の危険因子であり，胆道付加手術の適応と考えられた．

索引用語
choletithiasis, cholangiomanometory, juxtapapillary duodenal diverticula

別刷請求先
永野　靖彦　〒236-0004　横浜市金沢区福浦3-9　横浜市立大学医学部第2外科

受理年月日
2001年3月28日

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