長径9 cm 結節集簇様発育を示した早期十二指腸癌の1例

今井　寿^1）, 国枝　克行^1）, 久野　壽也^1）, 田中　善宏^1）, 安江　紀裕^1）, 佐治　重豊^1）, 下川　邦泰^2）, 後藤　裕夫^3）

岐阜大学第2外科^1）, 同　臨床検査医学^2）, 同　放射線科^3）

　症例は63歳の男性．右季肋部痛，嘔吐を主訴として近医を受診し総胆管結石症，胆炎診断にて胆嚢摘出術，総胆管切開術，T-tube 留置術を施行された．術後，T-tube からの排液の増量を認め，T-tube 造影 X 線検査，十二指腸内視鏡検査により十二指腸の海綿状腫瘍が発見された．手術目的に当科転院し生検の結果，十二指腸高分化型腺癌と診断され，幽門輪温存膵頭十二指腸切除術が施行された．摘出標本では腫瘍は90×80×30 mm 大で柔らかく，十二指腸下行部から水平部にかけて存在し Vater 乳頭部を巻き込んでいた．表面は絨毛状で分葉化傾向を示し大腸癌の結節集簇様病変に類似していた．病理組織学的診断は m，n0，の早期十二指腸乳頭状腺癌であった．自験例は調べえた限りでは早期癌として本邦最大径例と考えられた．

索引用語
nodule-aggregating lesions, early duodenal cancer, pylorus preserving pancreaticoduodenectomy

別刷請求先
今井　寿　〒500-8705　岐阜市司町40　岐阜大学医学部第2外科

受理年月日
2001年3月28日

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