Vater 乳頭部に発生した腺内分泌細胞癌の1例

村川　力彦^1）2）, 西山　徹^1）, 福良　嚴宏^1）2）, 久保田　宏^1）, 加藤　紘之^2）

名寄市立総合病院外科^1）, 北海道大学大学院癌医学専攻　癌制御医学講座　腫瘍外科学分野^2）

　症例は66歳の男性，閉塞性黄疸の診断で入院となった．Vater 乳頭部の生検で腺癌の診断を得て幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した．腫瘍は2.6×1.8cm で潰瘍腫瘤型を呈していた．腫瘍は粘膜側に腺管構造を認める，腺内分泌細胞癌と診断された．免疫組織学的検索で腺癌細胞と内分泌細胞癌細胞はともに CEA，EMA，NSE 陽性であり，両者は混在し移行帯も認められることから，その起源は同一のものであり腺癌に由来する内分泌細胞癌と推測された．内分泌細胞癌は内分泌細胞由来の腫瘍で悪性度が高く，急速な発育，転移をきたす予後不良な疾患である．本症例も術後10か月が経過した現在，骨および大動脈周囲リンパ節への転移を認めている．文献検索上，Vater 乳頭部に発生した内分泌細胞癌の本邦報告例は自験例を含め4例のみである．

索引用語
endocrine cell carcinoma, papilla of Vater

別刷請求先
村川　力彦　〒096-8511　北海道名寄市西7条南8丁目　名寄市立総合病院外科

受理年月日
2001年3月28日

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