症例報告
腹部 CT が有用であった2次性腹部大動脈十二指腸瘻の1例
伊藤 生二1), 窪田 敬一1), 小暮 洋暉4), 佐藤 直毅3), 岩崎 喜実1), 岡 慎二3), 佐久間 敦1), 根本 真人2)
獨協医科大学第2外科1),同 第2麻酔科2),協和中央病院外科3),宇都宮中央病院外科4)
腹部 CT が有用であった2次性腹部大動脈十二指腸瘻の1例を経験したので報告する. 症例は60歳の男性.主訴は発熱,下血.既往歴は,平成9年1月,腎動脈以下の腹部大動脈瘤にて人工血管置換術施行.現病歴は,2~3日前からの高度の発熱にて平成10年10月23日来院,同日入院した.腹部 CT にて人工血管内に小ガス像が認められたため,2次性腹部大動脈十二指腸瘻を疑い精査した.十二指腸内視鏡では十二指腸水平脚に白苔を伴った円形の潰瘍が認められた.入院後の経過中に多量の下血を呈し,緊急手術を施行した.開腹所見では,人工血管中枢側吻合部が十二指腸水平脚と瘻孔を形成していた.手術は,非解剖学的血行再建術(右腋下動脈―両側大腿動脈バイパス)後,人工血管摘出・十二指腸部分切除・十二指腸空腸吻合術を施行した.経過良好にて退院,術後2年5か月が経過するが特に合併症なく外来通院中である.
索引用語
secondary aortoduodenal fistula, aortic bypass graft operation
別刷請求先
伊藤 生二 〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町北小林880 獨協医科大学第2外科
受理年月日
2001年3月28日
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