症例報告
Frey 手術が奏効した膵気管支瘻合併が示唆された慢性膵炎の1例
藤井 雅和, 榎 忠彦, 中屋敷 千鶴, 井口 智浩, 小林 哲郎, 野島 真治, 江里 健輔
山口大学第1外科
症例は40歳の男性.主訴は背部痛,呼吸困難.アルコール性慢性膵炎の加療中,背部痛,乾性咳嗽を自覚し,精査の結果仮性膵嚢胞の縦隔進展,膵石と診断された.保存的治療で改善しないため手術目的で外科紹介となった.内視鏡的逆行性膵管造影では膵頭部に9×6mm の膵石を認め,その体部側に主膵管に連続する嚢胞が造影された.腹部正中切開の後,盲嚢を横切開し,膵臓を露出した.超音波ガイド下に主膵管を確認した後,膵石を含む膵頭部部分切除,膵管空腸側々吻合術を施行した.術後は経過良好で,経口摂取開始後,なんら自覚症状は出現しなかった.術後第31病日軽快退院した.術後コンピューター断層撮影では縦隔内仮性膵嚢胞は消失し,HbA1c 5.7%と耐糖能は良好であった.
索引用語
chronic pancreatitis, Frey's procedure, pancreatico-bronchial fistula
別刷請求先
藤井 雅和 〒755-8505 宇部市南小串1-1-1 山口大学医学部第1外科学講座
受理年月日
2001年2月28日
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