症例報告
急性膵炎が原因と考えられた大腸穿孔の1例
中村 利夫, 丸山 敬二, 柏原 秀史, 砂山 健一, 大端 考, 深沢 貴子, 綿引 洋一*, 西山 雷祐*, 金井 俊和*, 中村 達
浜松医科大学第2外科, 引佐赤十字病院外科*
急性膵炎における合併症として大腸穿孔をともなうことはまれである.われわれは急性膵炎が原因と考えられた横行結腸穿孔例を経験し手術によりこれを救命しえたので報告する.症例は48歳の男性で,発熱と全身倦怠感を認め検査のため入院となった.腹部超音波検査,CT 検査にて後腹膜膿瘍を疑い,注腸造影検査を施行したところ横行結腸において腸管外への造影剤の漏出が認められたため,後腹膜膿瘍および大腸穿孔と診断し緊急手術を行った.開腹すると後腹膜は膨隆し切開にて多量の膿の排出を認め,横行結腸に穿孔を認めた.術式は横行結腸,下行結腸切除と人工肛門造設ならびに後腹膜ドレナージを行った.切除した大腸の穿孔部位の炎症所見は漿膜側において顕著で組織学的に pericolitis および marginal artery の血栓を認め,急性膵炎による虚血性変化が大腸穿孔の原因と考えられた.
索引用語
pancreatitis, colonic perforation, retroperitoneal abscess
別刷請求先
中村 利夫 〒431-3192 浜松市半田町3600 浜松医科大学第2外科
受理年月日
2001年2月28日
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