多発性肝転移に対し肝動注療法が奏功した胃扁平上皮癌の1症例

丸田　智章, 中村　茂樹^＊, 島田　寛治^＊, 金子　博^＊＊, 畠山　勝義

新潟大学医学部第1外科, 新潟県立加茂病院外科^＊, ファルコバイオシステムズ関越病理部^＊＊

　多発性肝転移に対し肝動注療法が奏功した胃扁平上皮癌の1例を経験したので報告する．症例は65歳の女性．心窩部不快感，食欲不振で受診し，胃癌および多発性肝転移と診断された．1998年7月8日に胃全摘術および膵尾部，脾合併切除と肝動注リザーバー留置が行われた．組織診断で扁平上皮癌と診断された．pT2，sH1，sP0，pN2，cM0，Stage IVであった．大彎リンパ節，腹腔動脈周囲リンパ節に扁平上皮癌の転移を認めたが，脾門部リンパ節には腺癌の転移を認め，組織発生として腺癌の扁平上皮化が考えられた．胃切除後肝転移に対して肝動注療法を施行し，CRと判定した．新たな肝転移の出現や他部位への転移もなく術後2年9か月で健在である．

索引用語
squamous cell carcinoma of stomach, hepatic arterial infusion, multiple liver metastases

別刷請求先
丸田　智章　〒951-8510　新潟市旭町通1-757　新潟大学医学部第1外科

受理年月日
2001年4月25日

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