原著
肝切除術前後の血清ヒアルロン酸値変動とその意義(術後SIRSとの関連)
行方 浩二, 森岡 研介, 高森 繁, 児島 邦明, 深澤 正樹, 別府 倫兄, 二川 俊二
順天堂大学第2外科
肝切除症例42例を対象とし,血清ヒアルロン酸(HA)値を経時的に測定した.組織学的肝線維化の程度が進むにつれてHA値は有意に上昇し,肝機能不良例はHA値が高値であった.対象症例42例中,術後systemic inflammatory response syndrome(SIRS)を15例に認めた.SIRS(+)例はSIRS(-)例に比較して術前PT活性値,HPT活性値,ChE値,ICG R15値が有意に不良であった(p<0.05).同様にSIRS(+)例はHA値は高値で変動し,術前よりSIRS(-)例に比較し有意に高値を示した(p<0.05).SIRS(+)例から術後合併症を生じた9例もHA値は術前より有意に高値であった(p<0.05).肝切術前後のHA値は,術後SIRS例を評価する上で有用なマーカーであると考えられた.
索引用語
hyaluronic acid, hepatic resection, systemic inflammatory response syndrome, post operative complication
日消外会誌 34: 1373-1379, 2001
別刷請求先
行方 浩二 〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第2外科
受理年月日
2001年5月23日
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