症例報告
外傷性脾損傷に対し脾動脈塞栓術施行後遅発性破裂を来した1例
江川 智久, 長島 敦, 北野 光秀, 土居 正和, 林 忍, 茂木 正寿, 吉井 宏, 山本 修三
済生会神奈川県病院外科
外傷性脾損傷にてTAE施行後5日後に,遅発性破裂を来し脾部分切除を施行した1例を経験したので報告する.症例は23歳の女性で,左側腹部の鈍的外傷にて当院救急センター受診した.腹部CTにてIIIc型脾損傷と診断した.脾動脈造影にて血管外漏出像を認めたため,選択的TAEを施行し止血した.TAE後5日目に車椅子で洗髪したところ急激な腹痛が出現した.腹部CTにて造影剤の血管外漏出と腹腔内出血の増加を認め,遅発性破裂と診断した.ショック状態が続くため緊急手術を施行した.上極中心のIIIc型脾損傷であったため部分切除術を施行した.術後経過は順調で第19病日に退院した.TAE施行後でも遅発性破裂の発症に十分注意した経過観察が重要であると考えられた.
索引用語
splenic injury, delayed rupture, spleen preserving therapy
日消外会誌 34: 1433-1436, 2001
別刷請求先
江川 智久 〒221-0821 横浜市神奈川区富家町6-6 済生会神奈川県病院外科
受理年月日
2001年4月25日
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