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第34巻 第9号 2001年9月 [目次] [全文 ( PDF 69KB)]
症例報告

保存的加療が奏効した上腸間膜静脈血栓症の1例

豊田 和広, 中塚 博文, 眞次 康弘, 小川 尚之, 大城 久司

呉市医師会病院外科

 上腸間膜静脈血栓症は特異的な症状を示さず早期診断が容易ではない.このため救命できた報告例の多くは外科的治療を行った症例である.我々は虫垂炎に続発した上腸間膜静脈血栓症に対し,保存的治療が奏効しCT検査で経過を観察できた症例を経験した.症例は64歳男性で,近医で急性虫垂炎と診断され保存的治療を受けていたが,発熱,腹部膨満感が軽快せず紹介入院となった.白血球上昇,肝機能異常を認め,腹部造影CT検査にて虫垂炎を原因とした上腸間膜静脈血栓症と診断したが,腹部所見は弱く抗生物質およびヘパリン持続投与にて保存的治療を開始した.症状,検査所見は徐々に改善し,1週間後のCT検査では血栓は縮小していた.投薬をワーファリンに変更し,3回目のCT検査で血栓の消失を確認でき軽快退院した.その後虫垂炎を繰り返したため腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.術後1年経過した現在まで血栓症の再発やイレウスの徴候は認めていない.

索引用語
SMV thrombosis, acute appendicitis

日消外会誌 34: 1437-1441, 2001

別刷請求先
豊田 和広 〒737-0056 呉市朝日町15-24 呉市医師会病院外科

受理年月日
2001年5月23日

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