臨床経験
大腸手術の器械吻合時における術中自動縫合器消毒の試み
小林 省吾1)2), 亀山 雅男1), 村田 幸平1), 大東 弘明1), 平塚 正弘1), 佐々木 洋1), 甲 利幸1), 石川 治1), 今岡 真義1)
大阪府立成人病センター第1外科1), 大阪大学大学院病態制御外科2)
はじめに:大腸手術における自動縫合器を用いたfunctional end-to end法では,縫合器の腸管内への挿入が必要なため,腸管閉鎖時に腹腔内汚染を伴い,術後創感染の原因となることが予想される.そこで,0.5%グルクロン酸クロルヘキシジンによる自動縫合器の消毒を施行し,施行以前の非消毒例との比較検討を行った.対象・方法:大腸癌手術症例のうち,前期非消毒24例(C群)と,0.5%グルクロン酸クロルヘキシジンにて30秒間自動縫合器消毒を行った後期消毒22例(S群).結果:S群の19例に細菌学的検討を行い,消毒前後の接触培養にて細菌検出率が79%から16%と有意に減少した(p<0.01).また術後創感染率は,C群33%,S群9%と,S群において創感染が有意に減少した(p<0.01).考察:本消毒法は,functional end-to-end腸管吻合時における術中縫合器消毒として,有用な1方法と考えられる.
索引用語
colon surgery, wound infection, linear cutter
日消外会誌 34: 1475-1479, 2001
別刷請求先
亀山 雅男 〒537-8511 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター第1外科
受理年月日
2001年5月23日
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