症例報告
肺扁平上皮癌胃転移の1例
高山 智燮, 山田 行重, 久永 倫聖, 北東 大督, 中島 祥介
奈良県立医科大学第1外科
肺扁平上皮癌の胃転移であると臨床的に確認した1例を経験した.症例は71歳の男性.胃潰瘍の経過観察目的に施行した上部消化管内視鏡にて胃癌と診断され,手術目的に当科に紹介,入院となった.入院時の胸部X線写真にて左上肺野に異常陰影を認め,気管支鏡下生検にて扁平上皮癌と診断された.上部消化管超音波内視鏡にて胃体上部前壁に中心潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を認め転移性胃癌が疑われたが,生検では低分化癌のため転移性胃癌の確診ができなかった.しかし,入院中に胃病変より出血し吐血したため胃全摘術を施行した.切除標本の病理組織検査にて肺癌と同様の組織像であり,転移性胃癌と判断した.原発性肺癌の胃転移が生前に診断された症例はまれであり,過去の本邦報告例とあわせ80例について検討し,報告する.
索引用語
stomach metastasis, squamous cell lung carcinoma
日消外会誌 34: 1522-1526, 2001
別刷請求先
高山 智燮 〒634-0813 橿原市四条町840 奈良県立医科大学第1外科
受理年月日
2001年6月26日
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