症例報告
胃結核を合併した胃癌の1例
浅川 真巳, 金子 巌, 武鑓 豊文, 一ノ瀬 庸, 田中 俊郎, 瀬戸山 博, 岡部 道雄, 保坂 直樹*
公立豊岡病院外科, 同 臨床病理科*
胃癌病巣と領域リンパ節内に結核病変を有する胃切除症例を経験したので報告する.症例は74歳の女性.20年前より,検診で肺野の異常陰影を数回指摘されたが精査加療歴はなかった.嚥下困難を主訴に当院を受診し,下部食道浸潤を伴う胃噴門部癌と診断された.また,胸部単純X線および胸部X線CT像では左下肺野に線状石炭化陰影を認めた.入院後,食道ステントを留置,化学療法施行後,右開胸開腹による下部食道切除,胃全摘,膵体尾部脾臓合併切除を施行した.術後の病理組織学的検索の結果,胃癌病巣中心部とリンパ節内に結核結節を認めたが,結核菌は検出されなかった.病理組織像から胃結核の併存と診断した.術後18か月経過した現在,胃癌の再発と結核の再燃はない.検索した限り,本邦では胃癌と胃結核の併存例は17例で,本症例はまれであると考え報告した.
索引用語
gastric cancer associated with gastric tuberculosis, advanced gastric cancer, total gastrectomy
日消外会誌 34: 1527-1531, 2001
別刷請求先
浅川 真巳 〒409-3898 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科
受理年月日
2001年6月26日
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