症例報告
多発性回腸カルチノイド腫瘍の1例
高林 直記, 米山 さとみ, 中村 光一, 小西 毅, 小助川 雅巳, 須並 英二, 古川 憲一, 小林 亮, 平松 毅幸, 原 宏介
焼津市立総合病院外科
症例は53歳の女性で,数年来続く腹痛があり腸閉塞のため入院した.精査にて小腸腫瘍を認め小腸部分切除術を施行した.回腸末端より90cmの回腸に25×15×12mm大の粘膜下腫瘍と,その近傍の腸間膜に約4.5cm大の腫大リンパ節を認めた.この腫瘍による壁肥厚・変形が腸閉塞の原因であった.この他に径10mm大と径3mm大の粘膜下腫瘍を認めた.病理学的検索では,3個の腫瘍はいずれもカルチノイド腫瘍であり,銀染色による分類では銀還元性細胞型で,免疫染色にて腫瘍細胞内にセロトニンが認められた.リンパ節には転移を認めた.小腸カルチノイド腫瘍は転移をきたしやすく,また多中心性に発生することが多いとされる.本腫瘍の5年生存率は55~58%と良好であり,本症例も術後4年半で再発はみられない.しかし,5年経過後も再発がみられるとされ,より長期のfollow upが必要であると考えられる.
索引用語
carcinoid tumor, ileal neoplasm, intestinal obstruction
日消外会誌 34: 1547-1551, 2001
別刷請求先
高林 直記 〒425-8505 焼津市道原1000 焼津市立総合病院外科
受理年月日
2001年6月26日
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