臨床経験
膵管内乳頭腫瘍に対する体部横断切除膵端々吻合の経験
井川 理, 宮田 圭悟, 高橋 滋, 柿原 直樹, 松村 博臣, 飯塚 亮二, 藤井 宏二, 泉 浩, 竹中 温, 徳田 一
京都第二赤十字病院外科
膵体部膵管内乳頭腫瘍の1例に体部横断切除を行い,膵端々吻合にて再建した.症例は67歳男性,症状はなく,検診の腹部超音波検査で,径3.5cmの体部嚢胞性病変を認め紹介された.ERCP,膵液細胞診で膵管内乳頭腺腫と診断した.術中の所見より,再建法は膵の端々吻合を選択した.術後合併症なく良好に経過し,術後1年4か月後のERCPで,吻合部尾側の膵管は拡張なく良好に造影された.3年を経過し健存中である.膵空腸吻合では,術後の膵管造影による残存膵尾部の検索が困難であり,自験例の膵胃吻合でも造影成功例はなかった.膵端々吻合は生理的であり,手術時間も短く,術後のフォローアップのためにも優れた術式であると考えられた.
索引用語
intraductal papillary tumor of pancreas, segmental resection of pancreas body, end-to-end anastomosis of pancreas
日消外会誌 34: 1556-1560, 2001
別刷請求先
井川 理 〒602-8026 京都市上京区釜座通り丸太町上る春帯町 355-5 京都第二赤十字病院外科
受理年月日
2001年6月26日
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